ミステリーとか警察ものとか…読んだら書評書いてます

ミステリー、警察もの、組織もの、たまに他の本も、実際に読んでから書評を書いています。川崎市在住 連絡先 oyamaiitenki@gmail.com

雪冤 大門剛明 角川文庫

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なるほど~。見事に騙されました。本の帯にもある「本当の犯人は誰なのか?」「100人中99人が騙される」言葉どおりです。この結末は全然想像できませんでした。100人中100人が想像できないのではないでしょうか?

作品のテーマは「死刑制度の是非」「冤罪」

作品は「死刑制度の是非」「冤罪」というちょっと重い問題をテーマにして進行します。そういう意味では途中の展開が少し退屈するかもしれません。しかし作品中にほとんどヒントが出てこない「真相」は?ということで想像しながら読んでいくと「もしかしたら・・」とひらめく人がいるかもしれませんね。

作品の最終章でようやくすべて起きたことが明らかになるのですが、それでもまだ納得しきれないことが残ります。それは、なぜ、真一は現場から逃走し、警察は真一を犯人と断定したのか?この辺のくわしい説明は推察してください、ということなんですね?読んでいても、ずっともやもやしていて、そして最後までもやもやし続けて終わりました。

もう一つ疑問は、真一の父、八木沼悦史は、最後の最後に真相にたどり着けたのか?真相にたどり着くには「現場からなくなった台本」を読まないとわからないと思うのですが・・。

この作品には「怪しい」人物が何人も登場します。それなりに、事件の真犯人であってもおかしくない理由があり、怪しそうな行動をとっています。読者を隘路に引き込もうとする大門さんの作戦でしょうか? このあたりは、なるほど「横溝正史ミステリ大賞」は伊達じゃないと素直に賞賛します。真一が冤罪なら真犯人は誰なんだ?というのがこの作品の大きな流れですが、実際、プ~トロもこの流れに翻弄され続けました。でも「参りました!」と素直に言えない読後感が残ってしまうのはなぜなんでしょう?時間があれば、もう1回最初から読み返すと、この作品の奥深さがより理解できるかもしれません。それほど懐の深い作品だと思います。

でも、プ~トロは「乱読」をモットーとしているので、読み返さないだろうな・・。

中盤から展開が激しくなって面白くなります。最後の最後にとんでもない結末が!

でも途中のヒントが少なすぎるのは反則じゃないですか?笑