ミステリーとか警察ものとか…読んだら書評書いてます

ミステリー、警察もの、組織もの、たまに他の本も、実際に読んでから書評を書いています。川崎市在住 連絡先 oyamaiitenki@gmail.com

邪馬台国と黄泉の森 ー醍醐真司の博覧推理ファイルー 長崎尚志 新潮文庫

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初めて読む作家さんでした。解説によると、有名なマンガの原作者、プロデューサー、編集者だそうです。フリーのマンガの編集者が主人公ですが、普段ご活躍されている世界ですから細かい描写にはふむふむと納得してしまいました。

まさに博覧強記

プ~タロウは邪馬台国の謎(卑弥呼の正体、邪馬台国の場所)が小さい頃から大好きなので、この本もタイトルを見た瞬間、手に取っていました。「邪馬台国最大の謎」ですよ~。プ~タロウにとって、とても興味をそそられる内容だと思うじゃないですか。

結果は、邪馬台国の謎は、本筋とはまったく関係なく、主人公の(長崎さんの?)博覧強記ぶりを紹介するネタとして使われていました。歴史学者でもないのに邪馬台国の記載がある中国の文献まで紹介されて、ただひたすら驚くばかりです。もしかして、長崎さんは資料に頼らずにここまで書けるのでは?としたらまさに驚異!驚くべき博覧強記ぶりです。

登場人物は魅力的なんですが…

この本は4編のブロックで構成されていて、最初と最後が事件の本筋です。中の2編が本作品の面白さにどんな効果があるのかわかりませんが、その2編の中の登場人物、朝倉ハルナ先生も、中曽根安蘭くんもとても魅力的です。それぞれを主人公にして事件ものが1冊ずつできそうなキャラクターでした。どちらかというと、本筋の主人公、椋洸介さんは印象が地味で、彼の原体験を描いたホラーマンガの1シーンが、最初はどうも馴染めない。これが話の本筋に関係なかったら、最悪の評価になるところでしたが…、う~ん。このホラーマンガのシーンはやっぱりこの作品の重要なテーマなんですね。

それで、肝心の事件ですが、これが「参りました」と言わせる意外な結末を見せてくれます。この結末にもってくるために、第一章があり、様々なエピソードがあったのか…と、まさに長崎さんに降参させられた一冊です。

第一章でめげないで!最後に全ての謎が明らかになる! 醍醐さんと朝倉先生、中曽根クンのシリーズを待ってま~す!

結局、おススメかどうか? 最後まで読める人にはおススメです。決して途中で投げ出したりしないでください。最後に全ての謎が明らかになり、最後にこのミステリーの魅力が全開になりますよ~。