ミステリーとか警察ものとか…読んだら書評書いてます

ミステリー、警察もの、組織もの、たまに他の本も、実際に読んでから書評を書いています。川崎市在住 連絡先 oyamaiitenki@gmail.com

首洗い滝/憑き御寮 よろず建物因縁帳 内藤了

一気に読まされてしまいました。怖がりの人にはおススメしないほうがいいくらい、とても怖い怪奇現象が次々と起きてきます。こんな怪奇現象が身の回りに起き続けると、いくら美人でも近寄りたくないですね。(本人もイヤでイヤでしょうがないと思いますが…)

「憑き御寮」はシリーズ最高のおススメ!

「首洗い滝」はそんなにゾクっとしませんでしたが、「憑き御寮」は最高レベルの怖さ、面白さでした。若い女性の霊に憑りつかれて笑いながら死んでしまうという現象自体、ゾっとしますが、その因を紐解いてわかってきたことが更に怖い。二人小町と呼ばれた美人の闘いの過去は「ひょっとしたらこんな実話はあってもおかしくない」と思わせるような現実感をもってプ~トロに襲いかかってきました。

シリーズがすすむにつれ内藤さんの怪奇現象の表現が徐々に進化して、読者を怖がらせる「ツボ」を自分のものにしていっているように思えるのですが、いかがでしょう? この「憑き御寮」で封じるマサの霊はシリーズ最高のおぞましさでした。でも、あんな怪物を目のあたりにして、怪物と格闘して「大丈夫なわけないじゃん」と気丈に言ってのける高沢春菜はマサの霊を上回る力強さの持ち主?素敵なキャラクターです。

思うのですが、八墓村とか犬神家の一族で起きていることは、過去の怖~い出来事を利用した現実の人間が起こした事件、事件の理屈自体はこの世の理屈で説明できることでした。このよろず建物因縁帳では、過去の「因縁」が現実世界で事件を起こし、その「因縁」と現実の人間が闘うのですが、この闘いはこの世の理屈では理解できません。春菜と仙龍たちにしかわからない世界です。この世の理屈で理解できないほうが読んでいて怖くて、面白いと思いませんか?

ということで、内藤了さんは横溝正史を超えてしまったと言っては言い過ぎでしょうか?

読んでみて、マサが乗り移ったコーイチはその後、無事だったのか?心配になってます。さあ、「犬神の杜」をやっつけるゾ! どうせ、超怖~いエピソードが出てくるのだから春菜みたいな強い女の子にそばにいてもらって読みたい気分です。続編をどんどんお願いします!内藤さん。

ところで、このシリーズはミステリー?ホラー? 謎を解決するんだからミステリーですかね?

(高沢春菜さんは刑事ではありませんが、かっこいいので「女刑事がかっこいい!」カテゴリーに含めました。)