ミステリーとか警察ものとか…読んだら書評書いてます

ミステリー、警察もの、組織もの、たまに他の本も、実際に読んでから書評を書いています。川崎市在住 連絡先 oyamaiitenki@gmail.com

鍵の掛かった男 有栖川有栖 幻冬舎文庫

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大長編です!715ページです!

715ページ!1冊の本としては超厚い!大長編です。715ページです。ゆうに普通の文庫本二冊分です。読み応えがありました。これまで有栖川有栖というお名前でライトな内容なのかなと思い、読んでいませんでしたが、とんでもない本格的ミステリーです。警察を舞台にした話が多い昨今、素人探偵が事件を解決する本格的ミステリーの王道でした。舞台は大阪、中之島のこじんまりとしたホテル。このホテルに長期滞在中の男が死んでいるのが発見されました。自殺か他殺か?彼のこれまでの人生は?謎だらけの死でした。身寄りもいない、どんな人生を送っていたかもわからない。わからないことだらけから有栖川の調査が始まります。少しずつ明らかになっていく男の人生。しかし殺人の動機につながりそうな事は何一つでてきません。最後に全てのピースがはまり謎は解決します。実は作品中の至るところにヒントがちりばめられていたのに気が付きませんでした。作者から読者への挑戦に見事に敗れ去ってしまい、悔しいやら反省するやら。有栖川先生に、ミステリーの読み方を指導されている気分になりました。

作者からの挑戦には見事に負けました!

しかし、殺人事件を解決するミステリーだと思って読んでいると、次から次へと登場人物が怪しい動きをしたり、発言をしたりするんですね~。真相にはたどり着けませんでしたが、それなりに楽しませてもらいました。プ~トロは途中までまったく犯人ではない人が怪しいと思ってましたが見事にはずされました。これもまた作者のテクニックなんでしょうか?しかも犯行動機の手掛かりは作品中に書いてあったわけですから・・・やられた~!としか言い様がありません。

この話では、火村英生34歳は途中からの登場です。登場したと思ったらキレキレで事件の真相にたどり着いてしまう。若くして大学の準教授・・東野圭吾さんのガリレオとどっちが優秀なんだろう・・ってしょうもないことを考えてしまいました。是非、「臨床犯罪学者・火村英生の推理」シリーズをもっと映像化して欲しいです。

今度大阪に行ったら中之島界隈を歩いてみたくなりました。作品中の中之島に関する説明だけでも物知りになった気分になれます。橋の名前も由来も勉強になりました。

ところで、一つだけ??が付いてます。笑 時代劇コメディ「超高速!参勤交代」ってどんな物語なんでしょう?笑 こちらも誰か映像化してくれませんか? 

映像化を期待したい本格ミステリーです。もう一つ、時代劇コメディって…見てみたい!

時間のある人は是非715ページに挑戦してみてください。