ミステリーとか警察ものとか…読んだら書評書いてます

ミステリー、警察もの、組織もの、たまに他の本も、実際に読んでから書評を書いています。川崎市在住 連絡先 oyamaiitenki@gmail.com

イヴの迷宮 ジェームズ・ロリンズ

ミステリ―じゃないけど、ド派手アクションアドベンチャーです。

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イヴの迷宮 上下 ジェームズ・ロリンズ 桑田健訳 竹書房文庫

シグマフォースシリーズの(日本での)最新作です。このシリーズは会社での上司にすすめられ読み始めました。ミステリーというより、SFアクションアドベンチャー?というジャンルで、そのままハリウッド映画の原作になるような派手さとスケールの大きさを持っています。プ~タロウは基本的には翻訳ものはあまり読まないのですが、(登場人物の名前とか、場所の名前がカタカナで覚えられない 笑)このシリーズではピアース隊長以下、登場人物に感情移入でき面白くてシリーズはほぼ全作読んでいます。訳者の桑田健さんの訳が素晴らしく、翻訳ものに感じる「横文字感」を感じないのだと思います。(横文字感って何でしょう?笑 違和感? 客観的すぎる文章? うまく表現できません。)英語本の訳を面白くする秘訣がどこにあるのか、おそらく訳者オリジナルの表現も加わっていると思いますが、出過ぎでもなく、つまらなくもない、ちょうどいい具合の臨場感やキャラクターの個性に表現されていてついつい読みすすんでしまうんですね。

このシリーズは、典型的な勧善懲悪もので、ラストはシグマフォースが勝利し、めでたしめでたしで終結することは分かっているのですが、途中のハラハラストーリーには毎作楽しまさせていただいています。意外な展開、どんでん返しがいくつも重なっていて層の厚い構成というか、何回も楽しめるストーリーです。

シリーズは毎回違った事件をきっかけに展開するのですが、これがまたためになる知識をベースになっています。プ~タロウが薄学にして知らなかった最新の科学的な発見や、歴史的な事実をベースになっており、読んでいてお利巧になった気がします。とはいえ、事実とフィクションがちょうどいい具合に入り混じっていて、どこからどこまでが事実でフィクションなのか、そんなことは意識させないほどのテンポでストーリーは展開していくのです。今回の文庫本のお尻にも、事実とフィクションについての解説がついていますので、読み終わった後に解説を読んであらためて、最新の科学的な研究の進展を意識させられました。本作もネアンデルタール人から現代人の祖先へと飛躍的に知能がよくなった原因はいまだに解明されていない、とか、大昔のアジアには体調2メートル以上の巨人の一族がいたとか、これまでのプ~タロウの薄学さを覆すような事実で驚かせてくれるので、好きな一冊です。

この登場人物がおススメ。

本作中でパーコ(という本作だけの登場人物?)が大活躍するのですが、プ~タロウもパーコと暮らしたくなりました。ラストの活躍に拍手喝采です。翻訳ものは苦手という人にもおススメです。