ミステリーとか警察ものとか…読んだら書評書いてます

ミステリー、警察もの、組織もの、たまに他の本も、実際に読んでから書評を書いています。川崎市在住 連絡先 oyamaiitenki@gmail.com

警視庁犯罪被害者支援課4 身代わりの空 堂場瞬一

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警視庁犯罪被害者支援課4 身代わりの空 上下 堂場瞬一 講談社

堂場瞬一さんの警察もの全シリーズおススメです。

堂場瞬一さんの警察もの大好きです。「刑事 鳴沢了」から入って、「警視庁失踪課 ・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一ノ瀬拓真」「警視庁犯罪被害者支援課」と続くシリーズものは全作品読みました。昼飯に外出したりした時などに書店を見たら堂場さんの新作文庫本が出ていないか必ずチェック。ほとんど第一刷を購入しています。(読書は主に電車の中なので文庫本しか買いません)

堂場さんの作品でいつも感心させられるのは取材力。元新聞記者(でしたよね?)だけあって取材量はすごいと思います。本作品は舞台が富山市ですが、現実の富山市をよく知るプ~タロウが読んでも街の描写にまったく違和感がありません。惜しむらくは、もっと富山湾グルメを村野さんと梓ちゃんに食べてさせて欲しかった。きっと取材時間が足りなくて富山グルメは「富山ブラック」しか味わえなかったのだと勝手に想像しています。(冬の富山湾の魚は本当に美味しいんですよ~♪ ズワイガニも白エビもいますよ~♪  ニギスなんて珍しい魚も美味いんですよ~♪  ます寿司もあったのに~♪  残念でしたね♪ 笑 多分、ブリは食べていらしゃらないような気がします。堂場さんの食レポとしては少し物足りませんでした。笑 まあ本筋には関係無いことですけど)元地元住民として1か所?と思ったのは、現実の富山(きときと)空港は河川敷にあり、敷地の関係か滑走路が短め、冬の風も強いので離着陸に神経を使う空港の一つだと随分前に聞いた記憶があるのですが、作品中では「離着陸の難易度が高そうな空港には見えない」と表現されていたことです。リアルとフィクションに差があることは当たり前ですが、自分の知っている富山を思い浮かべながら読んでいたので、なおさら?と思ってしまったのでしょう。もしかしたら最近の操縦技術の進歩は難易度を下げてしまったのかもしれません。

この作品では、堂場さんのジャーナリズムに対する気持ちがそこかしこにちりばめられているような気がします。実際に堂場さんがどういう気持ちをお持ちなのかは知らないのですが、サツ回りの新聞記者やテレビ局クルーの取材現場での描写、メディアスクラムへの批判、ノンフィクション作家(この作品の主軸の一つですね)の執筆活動など、プ~タロウもこの世界に近い場所にいた経験があるのですが、本当にリアリティに溢れていて、きっと堂場さんがよく知っている世界なんだろうなと、堂場さんの愛情と批判精神が感じられました。

またこれも想像ですが、堂場さんは社会部記者の経験があって、きっと犯罪被害者の実態に心を痛めていたのではないかと思っています。その気持ちがこのシリーズを生み出した。想像しすぎでしようか?

そしてもう一つ、ファンにとってうれしいのは、この作品には各シリーズの主人公が全員登場してきます。高城さん、西川さん、沖田さん、一ノ瀬くん、は実際に村野さんとたっぷり絡んでいますし、大友鉄さんも会話の中に登場してきます。高城さんと愛美さんのやりとりなど、失踪課シリーズが引っ越してきたようで思わずニンマリしてしまいました。エンディングで何やら人事異動が匂ったのですが、いやいやそんなことになったら、人気シリーズが一つ無くなるので、出版社が許すわけありませんね。ある意味堂場瞬一ファンにはおススメです。

堂場瞬一ものはこれからも第一刷を買い続けます!